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包括根保証について

●経営者に過大な負担を強いる「包括根保証」に歯止めがかかる

日本では中小企業が融資を受ける際に、銀行がその経営者に個人保証を求める慣行があり、従業員数100人未満の企業では借入のある企業の八割以上が個人保証を提供しています。その際、銀行が制限のない包括根保証を求めることがあり、取引上の"慣行"ともなっていた面があります。

しかしこのことが、経営が行き詰まった経営者やその親族に過大な負担を強いたり、一度事業に失敗すると再チャレンジが困難であるなどの批判を集め、何らかの歯止めをかけるべきという声が高まっています。

批判を受けてきた銀行側も、根保証や保証に頼らないビジネスローンなどの申小企業融資に力を入れたり、既存の契約を改定するなどして、現状改善に努めるようになってきました。

そこで政府は、保証契約の期間や金額に一定の制限をつけ、包括根保証を認めないようにする方針を固め、法制審議会保証制度部会を立ち上げて具体案の検討に入っています。
●契約期間は「最長五年」が有力

保証人が保証を負うべき期問については、経営者と第三者の区別なく、保証契約を結んでから最長五年という基準が有力になっています。三年を過ぎれば、保証額の確定を債権者に請求できるしくみも検討されています。

この期間が過ぎてから発生した債務については、保証人が改めて保証意思を示さない限り、責任を問われることはなくなることになりそうです。

●保証の上限はこれからの議論に

保証金額の上限については、保証契約を結ぶ際にあらかじめ上限額を設定するよう義務づける案が検討されています。

第三者についてはこの線で固まりそうですが、経営者本人については「金額を制限する必要はない」という意見もあり、今後の議論のテーマになるようです。

法務省は民法の改正もしくは新法案をまとめる形で、秋の臨時国会に法案を提出し、早ければ来年の新制度導入をめざすとしています。遇大な個人の保証負担が中小企業の再起の足かせになってきたことは事実でしょう。法改正が中小企業の再生につながることを期待します。
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